事業承継による税金のメリット

事業承継税制とは?

中小企業の後継者の方が、現経営者から会社の株式を承継する際、相続税・贈与税の軽減制度(相続:80%分、贈与:100%分)です。
国が、たとえ税収が減ったとしても企業を存続させたいという意向が良くわかる、事業承継を後押しする税制です。

平成25年度、税制改正で事業承継税制の(非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度)が拡充されました。
特に「親族外承継」が対象となったことで、M&Aの利用促進につながっています。
更に、平成29年12月に改正され、平成30年1月以降は、条件によって相続税が100%免除されることもあり、事業承継を行うチャンスかも知れません。

基本的に譲渡される側(買い手)が優遇される税制ですが、これにより事業継承がしやすくなり、また譲渡する側(売り手)もメリットを知ることで価格交渉や従業員の待遇交渉などに活用できます。

税制改正のポイント

親族外承継の対象化
M&Aの親族外承継も対象に。
改正前は、事業承継税制の優遇措置の対象となるのは「親族内承継」に限定されていましが、改正後は、「親族外承継」も対象となりました。

価格の交渉において、買い手のメリットについて言及してもいいでしょう。
事前確認の廃止
手続きが簡素化されました。
改正前は、経済産業大臣の「事前確認」が必要でしたが、 改正後は、事前確認を受けていなくても制度が利用できます。
従業員の都合による退職に配慮
改正前は、厳格に5年間「毎年」維持となっていましたが、改正後は、5年間「平均」維持で評価されます。

従業員の雇用を守るという視点では、毎年維持という方が良いイメージがありますが、逆にこの制度のために従業員の自由が縛られてしまうという場合もあります。相互にメリットのある改正といえるでしょう。


利子税の負担を軽減
事業承継税制には要件があります。要件を満たせず、納税猶予が打ち切りになった場合、改正前は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要でした。改正後は、承継5年超で、5年間の利子税が免除されるようになりました。また税率も2.1%から0.9%に引き下げられました。

現・経営者が会社に残ることも可能
改正前は、贈与(譲渡)のタイミングで、役員を退任することが要件でしたが、改正後は、役員退任ではなく代表者退任要件に変更されました。
つまり、有給の役員として、会社に残ることが可能です。


他にも、親族内承継の場合に個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除するといった改正もなされています。

注意すべき点として、上記の税制を利用するには以下のような条件があります。

1)人は、譲渡する側(売り手)と譲渡される側(買い手)も、株式の贈与前後においてそれぞれ筆頭株主であること。
2)会社は中小企業に限定される。
3)5年間は事業を継続させる必要がある。
4)譲渡される側は5年後も株式を保有する必要がある。

多額の免除を受けるため、それなりに細かな要件があります。また改正も続いているため、詳細は承継のタイミングで確認する必要があります。

法人税は企業経営を左右する場合もあります。事業承継を考える場合、こういった動向も確認しておくと良いでしょう。